命の選択「トリアージ」について理解を深めよう
日本において、様々な安全基準が再検討される原因となった阪神淡路大震災。
医療現場においては、軽症者・重傷者問わず同じ病院に押し寄せた結果、医師や医療資源の数が足りず、重篤な患者に適切な措置がなされず助かる命も助からない事態が多く発生しました。
この経験が日本に広まり、徐々に導入されていったのが「トリアージ」です。
医療従事者にとっては知っていなくてはならない言葉ですが、一般的にはまだ聞き慣れないのではないでしょうか。
トリアージとは
トリアージという言葉は、フランス語で「選別」という意味の言葉です。
災害・事件・事故等で多数の負傷者が出た場合、医療現場では処置する医師や医療資源が足りなくなります。
そうなった場合に通常の受付順の診察から、患者の緊急度や重症度を元に治療の優先順位をつける行為のことをトリアージといいます。
救命できる可能性の高い順に限られた医療資源を適切に活用しながら治療することで、一人でも多くの命を救うことを目的としています。
混乱した医療現場の中では、まさに「選別」という言葉通り、「命の選択」が余儀なくされています。
トリアージの判断基準(START法)
トリアージは、病院入口や災害・事件・事故等の発生現場で行われます。
その際、患者の負傷状況から判断する必要があるため、医師・救急救命士・看護師が実施責任者となって行います。
意識・負傷状態(歩行・呼吸・脈・意識等)を元に軽症~死亡まで4つのカテゴリーに振り分け、それらを4色の色で判断するトリアージタッグと呼ばれる札を患者の所定の部位に取り付けます。
識別色(分類)
|
傷病等の状態 |
黒色(0) 第四順位搬送適応外群(救命困難群) |
既に死亡している者または明らかな即死状態であり、心肺蘇生を施しても蘇生の可能性が低いもの |
赤色(I) 第一順位緊急治療群 (重症群) |
直ちに処置すれば、生命が救われる可能性があり、一刻も早い応急処置が必要な傷病者 |
黄色(II)
第二順位待機治療群 (中等症群) |
多少治療の時間が遅れても、 生命には危険がない傷病者 |
緑色(III) 第三順位治療保留群 (軽症群) |
外来で処置が可能な傷病者、 もしくは処置不要 |
トリアージタッグ
(出典:一般財団法人 日本救急医療財団)
日本のトリアージの課題
トリアージには、やはり賛否両論もあります。
実際、東日本大震災の際には緑の判定をされた患者が、その後待機エリアで死亡してしまい、裁判にまで発展してしまった事例があります。
こういった事から、そもそも正確な判断がなされるかの不安を持つ人も少なくないでしょう。
このような過去の事例や実際の経験から生まれた課題が今後に生かされ、日本のトリアージの体制が安心できるものへ変わっていく事に期待したいです。
最後に、
判定の基準の中には、蘇生の見込みがない場合敢えて蘇生行為は断念するなど、親族からすると見捨てられたような状況になってしまうこともあります。
しかし、大勢の負傷者がいる中では、限られた貴重な医療資源は生存の見込みがある者へ優先しなければ結果的に死亡者が増えることに繋がってしまいます。
医療従事者がどれほど大きな責任の元、行っているのか想像もできません。
このトリアージを知っておくことで、少しでも理解を深めることが大切です。
日ごろの準備が、いざという時の減災に繋がります。
防災・減災のリフォームについてのご相談は、【一般社団法人 日本住宅再生支援機構】へお気軽にお問い合わせください。
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